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《更新日》 2019年10月5日
【吉野ヶ里散策】屋根の葺き替え工事
本葺きでキッチリ
現在、北内郭の北側にある高床倉庫群では、ヨシ葺き屋根の葺き替え工事が行われています。吉野ヶ里を流れる田手川を始め、佐賀県には沢山のヨシが生えていますが、公園では主に牛津川・早津江川・六角川などのヨシが使われています。
屋根の葺き替えの様子
時々、「弥生時代の建物の屋根はこんなにしっかり作られていたのですか?」と質問される事があります。確かに、復元建物の屋根はキッチリしています。実はそれは屋根の葺き方にあります。草葺きには「本葺き」(日本では主流)と「逆葺き」(東南アジアに多い)があり、本葺きは植物が生えている状態と同じに根を下にして葺き、逆葺きは根を上にして逆さまに葺きます。本葺きでは外側に根に近い太い部分が並びますので、そろえがキッチリとでき、また台風などの風に強いのも特徴です。
日本書紀の仁徳紀に、仁徳天皇が高津宮を作られる時に民の事を考えて質素に作り、屋根も切りそろえなかったと書かれています。これは、高貴な建物と一般の建物では屋根の仕上がりが違っていたことを表していると考えられます。吉野ヶ里の集落は国の中心の集落という事で、キッチリ切りそろえられた屋根が再現されているのです。
吉野ヶ里ガイド 福田幸夫
(2019年9月28日 佐賀新聞「吉野ヶ里散策」掲載)