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《更新日》 2019年8月12日
【吉野ヶ里散策】 弥生時代に文字?
筆使いベンガラで模様
今、吉野ヶ里歴史公園内の「吉野ヶ里遺跡展示室」では「むかしむかしの文房具」という企画展(9月20日まで)が行われています。最近、北部九州を中心として、弥生時代の「石硯(いしすずり)」の発見例が増えていて、吉野ヶ里遺跡からも石硯と研石と思われる2点の石製品が発見されました。企画展では、その石硯や研石を中心としての展示が行われています。
発見された石硯と研石
硯は文字を書くために必要な物で、硯があれば当然、文字の存在も考えなくてはいけません。しかし、常識では弥生時代にはまだ文字は使われていなかったはずです。そして、文字を書くのは筆です。ならば、筆もあったはず。というのは単純でしょうか。韓国では紀元前1世紀の遺跡から筆が発見されています。日本には弥生時代後期に漢から「漢委奴国王」の印が送られ、その後、魏からは卑弥呼に「親魏倭王」の印が送られました。印は文字を使っている者に送られたのではないでしょうか。
甕棺に描かれた模様
企画展では、筆を使いベンガラで模様を描いたと思われる甕(かめ)棺も展示されています。なかなか難しいことだとは思いますが、今度は筆が出る事を期待したいです。
吉野ヶ里ガイド 福田幸夫
2019年8月3日 佐賀新聞「吉野ヶ里散策」掲載)