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《更新日》 2019年6月13日
【吉野ヶ里散策】 謎の多い甕棺墓
”カプセル”再現難しい
吉野ヶ里遺跡からは、3000基を超える甕棺墓(かめかんぼ)が発見されています。甕棺墓とは、弥生時代に北部九州で盛んに行われた埋葬で、高さが1㍍ほどもある大きな甕形の素焼きの土器を棺とします。多くの甕棺墓は二つの土器の口を合わせてカプセル状態にした棺に遺体が入れられていて、弥生人の骨も約300体が発見されています。
吉野ヶ里遺跡は南北約4.5㌔の小高い丘陵地にあり、その尾根部分に列をなすように列埋葬の墓地が作られました。その列埋葬の中で最も長くつながっていた場所は約600mにも及びます。現在公園では、その一部の約300㍍、約千基の列埋葬の様子を再現しています。再現は甕棺の模型を使っての一部再現と、甕棺墓の上にあったであろう、土盛りで行われています。この列埋葬再現地区は、まだ地下に埋まったままの甕棺墓が多く、今でも墓地となっています。
さて、それではこの大量の甕棺は、いったい誰がどこでどうやって作ったのでしょうか。大きさもさることながら、薄く作られていて、今でも同じように作る事は難しいと言われています。実に謎の多い甕棺墓です。
吉野ヶ里ガイド 福田幸夫
(2019年6月8日 佐賀新聞「吉野ヶ里散策」掲載)